日本財団 図書館


 

のための必要な措置をとることを命じることができる。
(一)無許可施設等の意義
「無許可施設等」とは、設置許可も仮貯蔵・仮取扱の承認も受けずに指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱っている場所をいう。危険物施設であったがすでに用途廃止の届出を行っている施設もこれに含まれる。
(二)命令権者
命令権者は、市町村長等である。仮貯蔵・仮取扱の承認が消防長又は消防署長に属しているので、市町村長等がこの命令を発するときは当該承認の有無をこれらの者に照会する必要がある。
(三)命令の内容
命令の内容としては危険物の除去のほか、無許可施設等の撤去、貯蔵取扱量の制限、貯蔵取扱の禁止、施設の用途の転換などが考えられる。
いかなる措置を命ずるかは、警察比例の原則等の一般原則に照らし決定すべきであるが、無許可施設等が法により定められた基準に著しく不適合な構造であり、かつ、ふたたび違反が行われる恐れが大きい場合などは、施設等の撤去を命ずることが必要である。
例えば、老朽化したタンクローリーのタンク部分を空地に置き、ガソリン等を大量に貯蔵している場合などである。
また、危険物の除去を命じた場合には除去された危険物がどこに貯蔵されたかを確認する必要がある。これを怠った場合、新たな無許可貯蔵等の法令違反を生むことがある。
(四)命令違反時の措置
命令に違反した者については罰則の適用はない。これは、行為そのものが消防法第一〇条第一項に違反しており、当該罰則の適用によって十分にその目的が達せられるからである。なお、命令違反に対しては行政代執行法による代執行が可能である。

 

九、 予防規程の変更命令
市町村長等は、予防規程の内容が製造所等の事情の変更により火災予防上不適切となった場合、変更を命じることができる。
この命令に基づいて予防規程の変更をする場合、又は自主的に予防規程の変更をしようとする場合は、いずれも市町村長等の認可を受けなければならない。
(一)命令の要件
命令を発動できるのは、製造所等における抽象的な火災危険、つまり火災発生の可能性を防止するため、あるいは火災が発生した場合、火災の延焼拡大を防止し、被害を最小限度にとどめるため予防規程を変更する必要があると認めたときである。具体的には、予防規程が認可されたのち、ハード又はソフト面の事情の変更(例えば、当該製造所等の位置、構造又は設備の変更、作業員の変動、貯蔵・取扱う危険物の種類又は数量の変更、施設の周囲の状況の変化など)により現実の施設の実態と予防規程の内容に保安上のそごを来したとき、又は法令の改正等により予防規程の内容が当該法令に抵触することになったときである。具体的な火災発生危険の存在を必要としない。
(二)命令の内容
本命令の内容は、製造所等の火災を予防するために作成される自主的な保安基準である予防規程の変更である。「変更」とは、製造所等の関係者が市町村長等の認可を得て有効に成立した予防規程の内容を改めることである。予防規程の変更には、製造所等の関係者が自主的に行う場合と、本命令により強制的に行われる場合とがある。いずれにしても予防規程を変更した場合は、市町村長等

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION